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2021

コーチブログ「3部出身からFINALへ」 Gコーチ 中村鮎人



『早慶の舞台』





早慶以外のいかなる大学もあの場に立つことは許されず、

仕組まれてるかのごとく、

毎年毎年アイツらがFINALで出逢う。



FINALとはそういう場所なんだと、

現実をもってして、そう教育されてきた。



しかし、



2021年。

早慶の舞台がぶっ壊れた。




代わりにその場に立つのは、

FINAL4に幾度となく現れる

圧倒的組織、中央大学でもなく、

日本の最強頭脳、東京大学でもなく、



緑色の武蔵大学であった。



2021年9月20日

武蔵大学vs早稲田大学

4-3 武蔵win




「早稲田が負けた」

武蔵が勝ったという歴史的快挙より、

早稲田が敗北した驚愕の事実が速報のように全国に知れ渡った。


東伏見のグラウンドで

悔し涙を流す早稲田を、

敗北を受け入れられない早稲田を、

伝統が崩壊した早稲田を、


俺は初めて目にした。

(ここから一人称は俺と書くことにする)

(古澤、パクらせてもらった)


過去、練習試合ですら1度も勝利したことがなかった早稲田を、

この日、早慶の舞台から引き摺り下ろしてしまった。



早稲田が登るはずだった舞台への階段を

武蔵が上りだし、

続く日体戦にも勝利し、

初のFINAL4進出を決めた。



2021年10月16日

FINAL4の相手は中央大学。

去年の特別大会で、1点差で負けた相手。

去年の試合は俺にとって、

とても大きな意味を持つものだった。

後に触れるとする。



そして、

このFINAL4も無事勝利し、

『FINAL』進出を勝ち取った。

と、同時に

FINALの相手も決まっていた。




ラクロスの先駆者、慶應義塾大学だ。




やはり、アイツらがここにいる。

でも一つだけ違うことがある。

今年は、早稲田ではなく武蔵であるということ。



もう表彰台に登る慶應は見飽きた。

いい加減ラクロス界も新しい登場人物を期待してるのではないか。


ならば、

そこに武蔵の名を刻もう。

武蔵が日本1を11月6日獲ることにする。


本来ここに立つはずだった早稲田の分まで、

日体や、中央の分まで、

最大のリスペクトを持って

慶應に勝ってくる。



だから、

全国のみんな、

応援して欲しい。



緑色の武蔵が、関東1を獲る。









実は、もう一つ歴史が変わったことがある。


ラクロス界史上初の

日本ラクロス界の最底辺と、

最上位を経験する人物がいる。




そう、俺である。



現役時代、

当時国士舘大学にいた俺は、

チームの不祥事でリーグ戦棄権をし、

協会の定める規則によって

2部リーグから、「準認定」に落ちた。


準認定とは、1部、2部、3部、

その下にあるのが、準認定。



ラクロスをすることは許されても、

日本ラクロス協会主催の大会には一切出ることを許されず、ただ何も無い中練習するだけの時間を2年間過ごさなければならない。

2年間の反省を終えると、3部からスタートする。

そしてあれから4年の時が経つ今も、

国士舘は2部昇格に向けて必死に戦っている。



コーチとして武蔵に就き、

1部を経験し、次はFINALを経験する。

現役時代から考えると、

2部、準認定、3部、1部、FINALと

全てを経験することができた。



準認定出身の俺が

FINALの舞台に立つことがどれほどの事か。


俺自身よく分からない。


みんなが目指している憧れの場所ぐらいにしか感じられていない。



なぜなら、

数年前まで、運営側として

早慶をただ目の前で見ていただけだから。


早慶が気持ち良く試合をするために

裏方として必死で準備するだけの人間だったから。



でもそんな経験をしたからこそ、

関東に限らず、北海道、東北、関西、九州など、


全てのチームに言えることがある。




やれる事全てをやって目標に臨んでほしい。




綺麗事でどこにでもある言葉。


2部昇格を目指してるなら、

1部昇格を目指してるなら、

全国決勝を目指してるなら、

はたまた、

無事怪我なくリーグ戦を終えることを目指してるなら、

楽しくラクロスをすることを目指してるなら、


どんな目標でもいい。


自分に与えられた有限の時間を、

誰よりも濃く、その目標に使いまくってほしい。


勝つことだけが価値じゃない。


ひたむきに、努力して悔しい思いをして

それでも立ち上がって諦めずに

やれること全てをやる、


そうしたら、

必ず結果もついてくる。



その過程で得られた知識、経験が

勝利の積み重ねとなって、

いつか早稲田のような伝統を誇る

立派な素晴らしいチームとなる。




早稲田の伝統的強さを知るきっかけとなった出来事がある。


つい先日、Bリーグで早稲田と戦った。

そこに、小林というゴーリーがゴールを守っていた。



試合途中、

ベンチでいつも通り試合を見つめていたら、

その異様なオーラ、セーブ、見た目、

一瞬で気づいた。


Aチームにいたゴーリー小林じゃないかと。

しかし、Aのリーグ戦ではベンチ外であった。


リーグ戦のために必死こいてスカウティングをしていた中で、

本当に恐ろしいほど上手い選手だなと思っていた。



そんな彼に試合後、話しかけた。

なぜ、リーグ戦の時、ベンチにいなかったのかと。


予想だにしない答えが返ってきた。



「来年の早稲田のために、後輩を置くことにしました」

「自分は、Bで日本一を目指します」



もちろん怪我での離脱や様々な要因があったことも聞いたが、

その言葉に本当に感動した。


自分が4年間かけて日本一の舞台を目指してきた目標を、後輩に託す覚悟ができるか。



俺は出来ない。

私利私欲のため、絶対にベンチに入る決断をすると思った。



今まで散々、伝統という言葉を軽々しく使ってきたが、

その言葉にある背景や、見えない覚悟が

繋いできた伝統なんだと思った。



単純に、強いなと感じた。



武蔵は小規模ゆえに、誰に何かを託すなんて余裕はない。

常に自分自身が最高のパフォーマンスで

結果を出し続けないと、

勝てないからだ。




武蔵はその結果がやっと

芽を咲きかけている。


その瞬間を、

その感動を、

11月6日、全国のみんなに見てほしい。

武蔵はやれる事全てをやってきた。



もう既に引退した大学も、

まだ試合がある大学も、

FINALの日は、

練習を早く終わらせて

FINALを見てほしい。



このブログで書いた、


やれること全てをやって目標に挑む。


を、体現する。

慶應以外の全ての大学の分まで戦うことを誓う。



そして、

ただ勝つだけでなく、感謝をして欲しい。



裏方としてこのFINALという舞台を

準備してきた経験から、

たくさんの人によってこの試合が行われることへの感謝を、

土日平日関わらず練習に来てくれるコーチ(長妻さん)への感謝を、

そして、

毎日毎日、目標に向かって走り続ける子を

優しく見守ってくれている家族へ、


最大の感謝を持って

全力で勝つことを誓おう。



武蔵だけの勝利じゃない。



日本ラクロス界に希望を与える勝利としよう。



その勝利を収めて初めて、

やれること全てをやったと言える。






急ではあるが、

やれること全ての中でも、

俺が特に特化し、かつ効果が明確にあった内容を2つ紹介する。


1つは、トレーニング、栄養面からのサポート。

俺が武蔵に就いた2年前と同時期に

トレーナーの佐々部さんという方も一緒に

チームをサポートすることとなった。


学生にとってトレーニングの

あやふやな情報ややり方を

佐々部さんの的確な指導の元に

正しいやり方で効率的かつ効果的に実施することができた。

ここが大きな分岐点となった。


土台作りである正しい知識ややり方を学んだあとは、いかに継続してやり続けられるか。

そこを自分がサポートした。

俺の中に持つ知識と経験を全て注ぎ込んだ。


加えて、栄養面では

栄養専用Instagramアカウントでの情報発信、個別選手ごとの栄養管理、試合前の個別スケジュールなど多岐に渡った。


そのおかげで、

明らかに2年前とは体つきが変わり、

他大学からも、武蔵は大きくなったと

言葉をいただける機会が目に見えて増えた。



来年は、何人かボディビルダーを輩出しようと思う。




2つ目は、

ルール理解の促進。


今年度、3試合を通して武蔵は

本当に数個のフラッグダウンで試合を終えている。

これは本当に明確に武蔵が変わっている証拠である。


元々、武蔵はルール理解が強みではなく

むしろ、弱みであり足を引っ張っていた。


そんな現状を打開するために、

マネージャーだけでなく、プレイヤーの

審判試験受験を「強制」させた。


嫌とは言わせなかった。

なぜなら、嫌と言ってる自分自身ががファウルしてエキストラで失点したらどうすんだと。



もちろん、受けてもらうからには

審判班として全力で対策をした。

*審判試験対策の詳しい内容を知りたい大学などあれば、関東関わらず受け付けているので連絡お待ちしてます。



対策の回あって、

マネージャーの合格率は90%。

初のプレイヤーの合格も数名出た。


当時の、萌、いよき、りりーの3人には

試験対策や、グラウンドレベルでのルール指導などたくさんしてもらい頭が上がらない。

今となっては、萌は現役でありながら

2級にも昇格した。

武蔵に審判という役割が

本当に影響力を持ってチームに貢献できたなと思う。



ルール理解が深くなることで

プレイヤーと本当に質の高い話し合いができている。

さらには、資格を持ってるプレイヤーと話すと審判対プレイヤーではなく

審判同士の会話かと思う時がある。



でもそのレベル感で毎日切磋琢磨してほしい。

必ずルール理解で差がつく瞬間が訪れるから。

まだ審判班が確立出来てない大学、

あるけど、うまく出来てない大学、

いつでも相談に乗るので連絡下さい。

やれること全てをやってください。





以上の2つが特に取り組んだ内容である。

ぜひ実施してみてほしい。




ものすごい長いブログになってしまった。

ここまで飛ばさずに読めてる人は変態だと思う。



最後に一つだけ書かせてほしい。



『ゴーリーコーチ』として。




冒頭で、去年の中央戦はとても意味があったものだと書いたがその内容についてやっと触れる。



今、このリーグ戦3戦を通して出ている

ゴーリー高野(トモヤス)は、

2年前の冬に俺がゴーリーコーチとして就いたときは、3枚ゴーリーいる中で3枚目だった。最下位だった。


そんな彼が去年の特別大会初戦、

中央戦でスタメンになれた話をする。



縦振りもできない。

声も出せない。

ボールが当たるとゴールから外れてアイシングをしてグラウンドに座り込む。

クレードルできない。

パスもできない。


当時、最低評価だったトモヤスを見て、

「トモヤスを育てれば武蔵は強くなる」

本当にそう思った。

(我ながら、今となって思えば

マジでコーチとしてすげえと思う。)



よし!やるぞ!と意気込んだ時に

コロナで活動停止になった。

リーグ戦まであと半年も無い中、

とても苦しかった。


でもそこでギアを下げるのではなく、

やれること全てをやってもらった。

*内容は企業秘密なので言えません知りたい方は連絡お待ちしてます



途端に上手くなった。

本当に綺麗に人が変わったかのように

上手くなった。



自信を持ってHC長妻さんにトモヤスのスタメンを打診し、承諾を得て

スタメンとして初めてのリーグ戦を3年生で経験させた。



そして、一点差で敗北した。




結果的にあの敗北により、4年は決勝トーナメントに行けず引退した。


トモヤスがあの時、何を感じたのかはわからない。

それでも前に進むしか無い訳で、

今年1年間はずーと中央戦での敗北を引き金に、意識を、モチベーションを、

向上させ続けた。



おかげで、

今年のリーグ戦3戦の通算セーブ率は

 

70%を超えている。



残るは、慶應に勝つだけ。



ゴーリーが止めれば負けない。



武蔵の全員に伝えたい。



目を覚ませ。




慶應を倒すことができるのは、






早稲田でもなく、




中央でもなく、




東大でもなく、




俺達、武蔵だけだ。




やれること全てを。




武蔵大学ゴーリーコーチあゆと


コメント
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内容


浅田耕一
2021-10-26 20:12:28

熱い指導に応える選手の活躍を楽しみにしてます